補助金申請の事業計画はどんな項目が審査されるのでしょうか?

以前のコラム、”補助金申請に欠かせない事業計画を具体化するポイント”では、事業計画を具体化する際の検討すべきポイントを見ましたが、どの補助金申請においても、それらのポイントを事業計画検討では考慮しておきたいものです。そもそも補助金申請とは関係なく、事業計画を考えるときの指標にできるものだと思います。

補助金申請時には、検討した事業計画を計画書としてまとめるわけですが、補助金申請において事業計画はどのような項目で審査されるのかについて、もののづくり補助金を例にして見てみましょう。
※ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領 (14次締切分)を基に記載しています。

前提として、必ず押さえるべきこと

第一に、申請する補助金の目的に適合した事業でなければなりません。

ものづくり補助金の目的は、
『中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い生産性を向上させるための設備投資等を支援します』で、
『革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い生産性を向上する』事業でなければなりません。

因みに、事業再構築補助金の目的は、
『新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします』となっており、新分野に挑戦する事業でなければなりません。

ものづくり補助金は、公募要領にある「該当するとされた場合は不採択となる」事業に該当してはいけません。
特に、下記の②③丸投げ事業になるもの、④の設備導入のみであるものは、対象外となるので要注意です。

① 本公募要領にそぐわない事業
事業の主たる課題の解決そのものを他社へ外注又は委託する事業(グローバル市場開拓枠において、海外子会社へ外注する場合を除く)
試作品等の製造・開発の主たる部分を他社に委託し、企画だけを行う事業
事業の実施にあたり、実質的に労働を伴わない事業、専ら資産運用的性格の強い事業(例:無人駐車場(コインパーキング等)運営にあたって単に機械装置の購入のみを行う事業等)
⑤ 購入した設備を自ら占有し、事業の用に供することなく、特定の第三者に長期間賃貸させるよ うな事業
⑥ 公序良俗に反する事業
⑦ 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条各項に定める事業
⑧ 「補助対象経費」の各区分等に設定されている上限を超える補助金を計上する事業
⑨ その他申請要件を満たさない事業

審査される項目を意識しましょう

事業計画の具体化を進める際にその補助金で審査される項目を意識しておきましょう。
ものづくり補助金の審査項目は以下が挙げられています。

観点内容
補助対象事業としての適格性・「補助対象事業の申請要件、申請枠及び補助率等」を満たすか
・3~5年計画で「付加価値額」年率平均3%以上の増加等を達成する取組であるか
技術面① 新製品・新サービス(既存技術の転用や隠れた価値の発掘(設計・デザイン、アイデアの活用等を含む))の
 革新的な開発となっているか。
 「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」又は
 「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」に沿った取組であるか。
② 試作品・サービスモデル等の開発における課題が明確になっているとともに、
 補助事業の目標に対する達成度の考え方を明確に設定しているか。
③ 課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込まれるか。
④ 補助事業実施のための技術的能力が備わっているか。
事業化面① 補助事業実施のための社内外の体制(人材、事務処理能力、専門的知見等)や最近の財務状況等から、
 補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか。
② 事業化に向けて、市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、
 マーケット及び市場規模が明確か。クラウドファンディング等を活用し、
 市場ニーズの有無を検証できているか。
③ 補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、
 事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。
④ 補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して想定される売上・収益の規模、その実現性等)が高いか。
政策面① 地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等や雇用に対する経済的波及効果を
 及ぼすことにより地域の経済成長(大規模災害からの復興等を含む)を牽引する事業となることが
 期待できるか。
 ※以下に選定されている企業や承認を受けた計画がある企業は審査で考慮。
 ○地域未来牽引企業
  https://www.meti.go.jp/policy/sme_chiiki/chiiki_kenin_kigyou/index.html
  ○地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画
  https://www.meti.go.jp/policy/sme_chiiki/miraitoushi/jigyou.html
② ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、
 厳格な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を
 有しているか。
③ 異なるサービスを提供する事業者が共通のプラットフォームを構築してサービスを提供する
 ような場合など、単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組むことにより、
 高い生産性向上が期待できるか。
 異なる強みを持つ複数の企業等(大学等を含む)が共同体を構成して製品開発を行うなど、
 経済的波及効果が期待できるか。また、事業承継を契機として新しい取組を行うなど
 経営資源の有効活用が期待できるか。
④ 先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、環境に配慮した事業の実施、
 経済社会にとって特に重要な技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、
 我が国のイノベーションを牽引し得るか。
⑤ ウィズコロナ・ポストコロナに向けた経済構造の転換、事業環境の変化に対応する投資内容であるか。
 また、成長と分配の好循環を実現させるために、有効な投資内容となっているか。

一般枠以外では、個別の審査項目があります。
・炭素生産性向上の取組等の妥当性(グリーン枠のみ)
・グローバル市場開拓の取組等の妥当性(グローバル市場開拓枠のみ)
・大幅な賃上げに取り組むための事業計画の妥当性(大幅な賃上げに係る補助上限額引上の特例のみ)

加点項目は採択率を上げます

ものづくり補助金では、審査の加点項目があり、この充足が採択可能性の向上につながります。

加点項目内容
成長性加点有効な期間の経営革新計画の承認を取得した事業者
政策加点①創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)
②パートナーシップ構築宣言を行っている事業者
 ※ 「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイト(https://www.biz-partnership.jp/index.html
 において宣言を公表している事業者
③再生事業者
④デジタル技術の活用及びDX推進の取組状況(デジタル枠のみ)
災害等加点有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者
賃上げ加点等①「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均2%以上増加させ、かつ、
 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+60円以上の水準にする計画を有し、
 事務局に誓約書を提出している事業者」、又は、
 「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均3%以上増加させ、かつ、
 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+90円以上の水準にする計画を有し、
 事務局に誓約書を提出している事業者」に対して加点を行います。
②被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合

減点項目に該当していなかも確認しておきましょう

一方、以下のような減点項目もあるので、減点を受けることがあることも考慮しておきましょう。

①応募締切日から過去3年間に、類似の補助金の交付決定を1回受けている場合
(過去3年間に、既に2回以上交付決定を受けた事業者は申請対象外)
② 回復型賃上げ・雇用拡大枠において、繰越欠損金によって課税所得が控除されることで
 申請要件を満たしている場合

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