確定申告書の控えを紛失していたら

官公庁の許認可や補助金を申請するときに、所得の証明をするために、確定申告書(税務署の受付印などがあるもの)の写しを提出しなければならないことがほとんどです。

例えば、
建設業許可申請では、法人の場合、法人税確定申告書(別表一・決算報告書、役員報酬手当及び人件費等の内訳)、個人事業主の場合、所得税確定申告書(第一表)が必要です。
小規模事業者持続化補助金では、直近の確定申告書の第一表、第二表、収支内訳書(1・2面)または、所得税青色申告決算書(1~4面)が必要です。

「確定申告書の控えを失くした」「収受印が押された確定申告書の控えが必要なのに、収受印が押された確定申告書の控えがない」「そもそも控えを提出していないので収受印を押してもらっていない(控えだけを持参して、収受印をもらうことはできません)」などの場合、税務署で「閲覧請求」または「開示請求」という手続きをすれば、提出した過去の確定申告書を知ることができます。

しかし、「閲覧請求」では、税務署で過去の確定申告書を閲覧することができるだけで、申告書の控えをもらうことはできません。

開示請求を行います

「開示請求」は、確定申告の控えをもらうことができます。

請求対象となる申告書(一部)は以下のとおりです。書面提出のほか、e-Taxで提出されたものも閲覧請求・開示請求の対象となります。
・所得税及び復興特別所得税申告書
・法人税及び地方法人税申告書、復興特別法人税申告書
・消費税及び地方消費税申告書
・相続税申告書
・上記申告書等に添付した書類(青色申告決算書や収支内訳書など)

開示請求の手続き

申請

「保有個人情報開示請求書」または「特定個人情報開示請求書」を税務署の窓口に提出するか、郵送します。
「特定個人情報開示請求書」は、マイナンバー(個人番号)が記載されている申告書の控えが欲しい場合の請求書です。(通常は、使わないでしょう)

開示請求書の「2 求める開示の実施方法等」に、『写しを送付してもらう』方を選択しておきましょう。
(税務署に出向く時間がある場合は、窓口で開示を受ける方でもよいでしょう)

下記を添付して、提出します。
・本人確認書類の写し(コピー)
 マイナンバーカードのコピーを本人確認書類として提出する場合、
 表面(マイナンバーが記載されていない面)のみを提出します。
・住民票の写し(開示請求日前30日以内作成、マイナンバーが記載されていないもの。コピー不可)
・開示請求手数料(確定申告書1件につき300円)の収入印紙を請求書に貼付

・法定代理人が開示請求をする場合
 戸籍謄本、戸籍抄本、成年後見登記の登記事項証明書その他法定代理人であることを証明する書類
 (開示請求日前30日以内に作成されたものに限る)の原本
・任意代理人が開示請求をする場合
 委任状(開示請求日前30日以内に委任者本人が作成したものに限る)に委任者の実印により押印した上で、
 委任者の印鑑登録証明書(開示請求日前30日以内に作成されたものに限る)、又は、
 委任者の運転免許証、個人番号カード(個人番号通知カードは不可)等の写し

通知

原則30日以内に開示・不開示の決定が通知されます。

開示実施

開示決定通知のあった日から30日以内に開示の実施を申し出てください。
確定申告書の控えを受け取ります。

「保有個人情報の開示の実施方法等申出書」を提出するよう案内がありますが、開示申請書で希望した開示の実施方法(写しの送付)で開示できる旨が開示決定通知書に記載されています。変更する必要がない場合は「保有個人情報の開示の実施方法等申出書」は提出不要です。

確定申告書の控えを郵送で希望する場合は、返送用の切手(定形外(規格内)簡易書留郵便の場合で470円)が必要になります。

開示請求できるのは何年前まで

税務署により異なりますが、3年までのところや、7年~10年まで残っている場合もあります。

まずは、以下の「e-Tax申告書等情報取得サービス」を試してみるといいと思います。

令和2年以降なら、e-Tax申告書等情報取得サービスを利用

e-Taxの申告書等情報取得サービスでは、提出方法を問わず確定申告書の控えをPDF形式で取得できます。
e-Taxの利用にはマイナンバーカードが必要ですが、手数料がかからないうえ、オンライン上で申告書などを取得できる便利な手法です。

ただし、取得できるのは、令和2年以降の直近3年分の所得税及び復興特別所得税確定(修正)申告書、青色申告決算書、収支内訳書のみとなります。

利用するには、パソコンやスマホなどでe-Taxにログインして、作成した閲覧申請データを送信します。
手順は以下の通りです。

  1. 申告書等の閲覧を申請
  2. 所得税申告書等情報を閲覧
  3. 対象年度などを選択
  4. 電子署名の付与
  5. 送信

申請後、e-Taxのメッセージボックスに返信が届き、添付されたPDFファイルをダウンロードできます。
Web版のe-Taxソフトは、電子申請等証明書の交付ができます。

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行政書士 尾﨑
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