小規模事業者持続化補助金やIT導入補助金など様々な補助事業があります。
それぞれの事務処理について、固有の内容は、公募要領などに詳しく説明されています。
しかし、補助金事業に共通する経理処理や現地調査などの事務処理については、それぞれの補助金では、説明されていません。
経済産業省の「補助事業事務処理マニュアル」から、補助事業者(補助事業の実施者)にとって、気を付けるべき点を整理します。

経理処理について

(1)経理処理の基本
 ●補助金の支払いは、原則として、事業終了後の精算払である
 (自己資金等の状況次第で事業終了前の支払い相談可能)
 ・経費計上は、交付決定日以降に発注し、補助事業期間中に支払確定したものが対象
 ・事業目的に合致し、事業に使用されていることが確認できる資料がある
 ・支払方法は、原則、銀行振込とすること
 ・消費税確定申告で仕入控除額がある場合、報告が必要

(2)関係書類の整理
 関係書類を時系列に整理・保管すること

(3)人件費に関する経理処理
 人件費 = 交付決定時の時間単価 × 補助事業に従事した分のみの作業時間数
 ・時間単価の算出方法(以下2方法のいずれか)
  ①実績単価計算:(年間の総支給額+法定福利)÷年間理論総労働時間
  ②健保等級単価計算:健保等級単価表等から)
 ・作業時間数の算出方法(以下2方法のいずれか、①がお勧め)
  ①業務日誌(事業に従事した本人が、従事時間・内容を記載)
  ②業務実績報告(事業従事者の補助事業従事割合を算出)(下記要件あり)
   ※中小企業・個人事業主であり、事業期間が半年以上の場合等
   ※原則、財務諸表の損益計算書の販売費および一般管理費と補助対象経費事の合計額に占める
    補助対象経費(人件費除く)の割合

(4)旅費に関する経理処理
  対象とならない経費がある(日当、50km未満区間の特急料金、グリーン料、レンタカー代など)

(5)会議・謝金に関する経理処理
  会場借料、茶菓料、謝金(大学教授や民間企業の部長級で、時間当たり7千円程度が目安)が対象

(6)備品費・借料及び損料に関する経理処理
  備品費とは、事業のために必要な1年以上継続使用する物品のこと
  借料・損料とは、事業のために必要な機械器具等のリース・レンタルの経費のこと
  (交付決定後の発注であること、原則、前払はしないこと

(7)消耗品費に関する経理処理
  備品費に属さないものの購入に係る経費のこと

(8)印刷製本費に関する経理処理
  パンフレット、事業成果報告等の印刷製本に係る経費であり、事業に必要な印刷部数のみ
  ※事業に必要な印刷部数
   配布先、スケジュールが明示されている場合は、その部数
   明示されていない場合は、事業期間に使用した部数

(9)補助人件費に関する経理処理
  アルバイト等の賃金等

(10)その他経費に関する経理処理
  一般的に以下の費用は、補助対象経費として認められない場合が多いので要注意
  ・賃借物件の保証金、敷金、仲介手数料
  ・借入金などの支払利息および遅延損害金
  ・新聞代等の消耗品代、団体等の会費
  ・税務申告、決算書作成のために税理士等に支払う費用
  ・公租公課、保険料

(11)委託・外注費に関する経理処理
  可能な範囲で相見積を取り、最低価格を提示した者を選定すること
  対象となる主な業務
   審査、事業者サポート(説明会、コールセンター等)、システム調達、支払業務調査・分析、広報業務

(12)一般管理費に関する経理処理
  間接補助金を交付する事業の事務局業務を行うために必要な経費
  その事業経費として特定が困難なものとして一定割合の支払を認められた間接経費のこと
  (通常、補助事業者には発生しない経費と思われます)

(13)実績報告書の作成
  各補助金の様式に添って、整理作成する
  補助金交付要領等で定められた実績報告書提出期限までに提出すること

現地調査

経済産業省担当者が、事業実施場所に赴き、事業の進捗、購入物品の管理・使用状況、経費の発生状況、書類の整理状況、経理処理の状況を確認する
中間検査(事業期間中)、確定検査(実績報告後)、その他検査(事業期間終了後必要に応じて)がある
経理処理については、補助事業チェックリストで書類の整理状況を確認しておく必要がある

事後作業

(1)消費税仕入控除税額に係る処理
  補助事業で支払った消費税に対して補助金を交付し、補助金に係る消費税の仕入控除税額が発生した場合
  消費税の確定申告終了後速やかに報告する必要があります
(2)財産の管理・処分に係る処理
  単価50万円以上の施設、機械設備を取得、改良した場合、
  処分制限期間内に処分(転用、譲渡、廃棄など)しようとするときは、予め大臣の承認を受けなければなりません
  処分制限期間:補助金により異なります
(3)収益納付に係る処理
  補助事業により収入がある場合、補助事業の成果から産業財産権取得し譲渡等の成果がある場合、
  補助金交付要領に基づいて、経済産業省に報告する必要があります
(4)VAT(Value Added Tax)還付に係る経理処理
  海外で展示会等を開催する場合に、間接税が還付される場合がある

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