著作物とは

著作物は、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(著作権法(2条1項1号))と定義されています。

著作権は、著作者と実演家の以下の権利を保護しています。
■著作者
 ・著作者人格権
  人格的利益(精神的に「傷つけられない」こと)を保護
  保護期間:著作者の生存中(ただし,著作者の死後においても、原則として、著作者人格権の侵害する行為をしてはいけません
 ・著作権(財産権)
  著作物を創作した時点で「自動的」に付与される(登録等は不要)
  財産的利益(経済的に「損をしない」こと)を保護
  他人が「無断で利用等すること」を止めることができたり、使用料などの条件を付けて、他人の利用等を認めます
  保護期間:原則として、創作のときから著作者の死後70年間まで
■実演家等実演家等(実演家・レコード製作者・放送事業者・有線放送事業者)
 ・実演家人格権
  著作物等を「伝達する者」(実演家等)に付与される
 ・著作隣接権(財産権)
  実演等を行った時点で「自動的」に付与される(登録等は不要)

著作権者不明時の「裁定制度」

他人の著作物、実演、レコード・ CD 、放送又は有線放送を利用(出版、 DVD 販売、インターネット配信等)する場合、原則として、「著作権者」や「著作隣接権者」の許諾を得ることが必要です。

しかし、許諾を得ようとしても、「権利者が誰だか分からない」、「権利者が誰か分かったとしても、権利者がどこにいるのか分からない」、「亡くなった権利者の相続人が誰でどこにいるのか分からない」等の理由で許諾を得ることができない場合があります。(文化庁著作権課 『 裁定の手引き 令和 2 年 2 月版 』 文化庁,2020 p.1 )

こういった場合に、「著作権者不明等の場合の裁定制度」(著作権法第 67 条、第 67 条の 2 、第 103 条)を使って、権利者の許諾を得る代わりに文化庁長官の裁定を受け、通常の使用料額に相当する補償金を供託することにより、適法に利用することができます。

この制度を利用するにあたって、裁定の申請前にチェック・実施しておかなければならないことがあります。

(1)著作権者不明等の場合の裁定申請の対象
   権利者若しくは権利者の許諾を得た者により公表され、又は相当期間にわたり公衆に
   提供等されている事実が明らかである著作物、実演、レコード、放送、有線放送です。
   なお、「相当期間にわたり公衆に提供等されている事実が明らかである著作物等」とは、
   文化庁によれば、「権利者等により公表されているかどうかは不明であるものの、相当期間に
   わたり世間に流布されている著作物等のことをいい、具体的には童謡等が考えられ」ます。
   (文化庁著作権課 『 裁定の手引き 令和 2 年 2 月版 』 文化庁, 2020 p.1 )としています。
(2)著作権者と連絡することができない場合における「相当な努力」
   権利者が不明その他の理由により「相当な努力」を払っても権利者と連絡することができないことを
   疎明することが必要となり、著作権者と連絡することができないことを疎明するためには、次の措置の
   すべてを行わなければなりません。
  ①広く権利者情報を掲載していると認められるものとして文化庁長官が定める刊行物その他の資料の閲覧
  ②著作権等管理事業者その他の広く権利者情報を保有していると認められる者として文化庁長官が定める者に
   対する照会
  ③時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙への掲載その他これに準ずるものとして文化庁長官が定める方法に
   より、公衆に対し広く権利者情報の提供を求める
   (具体的には、公益社団法人著作権情報センターのサイトに7日以上の期間継続して掲載すること)

因みに、裁定申請に係る費用は、
・権利者情報を求めるための広告料:1件につき、7,500円+消費税
・裁定申請書に貼付する収入印紙:1件につき、 6,900 円
・裁定を受けることが決まった場合の補償金の所管法務局への供託費用
 補償金の額は、著作権等管理事業者等へ照会した後、文化審議会への諮問を経て決定
 (裁定補償金額シミュレーションシステムにて、補償金額の目安を算出することができます)

著作権登録制度

著作権を登録する制度があります。

著作権は著作物を創作した時点で自動的に発生するため、著作権の取得に手続は不要です。
また、著作権の移転は、登録しなくても移転の効力は有効です。
では、何のために登録する必要があるのでしょう。

著作権関係の法律事実を公示(常に外部に認識しうるように)するとか、著作権が移転した場合の取引の安全を確保するなどのためです。登録の結果、法律上一定の効果が生じることになります。

具体的には、次の5つの事項を登録することが可能です。
「実名の登録」と「第一発行年月日等の登録」は、『公表』されていることが条件です。

登録の種類内容効果
実名の登録無名変名公表された著作物の著作者が、その実名(本名)を登録無名、変名で公表された著作物著作権保護期間は公表後70年間だが、実名で公表された著作物と同じく著作者の死後70年間となる
第一発行年月日等の登録著作権者又は、無名、変名で公表した著作物の発行者が、その著作物が最初に発行・公表された年月日を登録
公表された著作物であることが必要
登録日が著作物の第一発行又は第一公表されたものと推定される(反証は可能)
創作年月日の登録プログラムの著作物の著作者が、その著作物が創作された年月日を登録
プログラムの著作物のみが対象
(公表、未公表を問わない)
創作後6カ月以内に申請することが必要
登録日に当該プログラムの著作物が創作されたものと推定される(反証は可能)
著作権・著作隣接権の移転等の登録著作権著作隣接権(実演、放送等)の譲渡等、又は著作権や著作隣接権を目的とする質権の設定等があった場合、登録権利者が著作権、著作隣接権の登録を受けることができる権利の変動に関して、登録することにより第三者に対抗できる
出版権の設定等の登録出版権の設定・移転等、又は出版権を目的とする質権の設定等があった場合、登録権利者と登録義務者は出版権の登録を受けることができる
プログラムの著作物以外の著作物が対象
権利の変動に関して、登録することにより第三者に対抗できる

著作権の登録は、プログラムの著作物以外は、文化庁に
プログラムの著作物は、一般財団法人ソフトウェア情報センターに です。

参考)著作権登録に係る費用(一部)
●登録免許税
 ・著作権の移転の登録:1件につき、18,000円
 ・出版権の設定の登録:1件につき、30,000円
 ・他質権の設定、信託の登録などの免許税があります。
●登録手数料(プログラムの著作物):1件 47,000円

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