民法の契約不適合責任には期間制限があります
契約不適合責任には、通常の債務にあてはまる消滅時効のルールとは異なる特別の期間制限が置かれています。
種類・品質が契約の内容に反している場合
改正前民法と異なり、解除権や損害賠償請求権の行使を1年以内にしなければならないわけではなく、
不適合があることを見つけたら、1年以内に売主に通知しましょう。
この1年の期間制限は、売主が引き渡し時点で不適合を認識していたり、重過失により認識していなかったりした場合にはありません。
数量が契約の内容に反している場合
数量に関する不適合については、1年以内の通知という期間制限はありません。
消滅時効のルールがあてはまり、行使できることを知った時から5年間、行使することができる時から10年間行使しないとき時効により消滅します。
以上を IT、ソフトウェア開発の視点で見てみると
民法改正前は、瑕疵担保責任を追及できる期間は納品時から1年以内でしたが、
改正後の契約不適合責任では、ユーザー側が不具合を知ったときから1年以内に請求できる、に変わります。
発注者が瑕疵担保責任を追及できる期間が延長されました、受託側は堪ったものではありません。
一見すると、発注側が一方的に優位になったように見えますが、
不具合が知られない限り半永久的に責任追及できるというわけではなく、納品時から最大10年以内という上限が設けられていて、受託側のことを考えてくれています。
とはいえ、実務上、「検収完了後〇か月以内に委託者から契約不適合を通知された場合に限る」という条項を設けることは一般的です。
この〇か月の期間を本番稼働からどれくらいの期間を設ければ全機能を動作させることができるのか、保守契約を締結する予定があるのかなど委託者と受託者で協議し、合理的な期間を定めることが一般的です。
(無用に争いが複雑化しないようにしておきましょう)
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