著作物を利用したいけど著作権者が不明の時はどうする?
他人の著作物、実演、レコード・ CD 、放送又は有線放送を利用(出版、 DVD 販売、インターネット配信等)する場合、原則として、「著作権者」や「著作隣接権者」の許諾を得ることが必要です。
しかし、許諾を得ようとしても、「権利者が誰だか分からない」、「権利者が誰か分かったとしても、権利者がどこにいるのか分からない」、「亡くなった権利者の相続人が誰でどこにいるのか分からない」等の理由で許諾を得ることができない場合があります。(文化庁著作権課 『 裁定の手引き 令和 2 年 2 月版 』 文化庁,2020 p.1 )
こういった場合に、「著作権者不明等の場合の裁定制度」(著作権法第 67 条、第 67 条の 2 、第 103 条)を使って、権利者の許諾を得る代わりに文化庁長官の裁定を受け、通常の使用料額に相当する補償金を供託することにより、適法に利用することができます。
この制度を利用するにあたって、裁定の申請前にチェック・実施しておかなければならないことがあります。
(1)著作権者不明等の場合の裁定申請の対象
権利者若しくは権利者の許諾を得た者により公表され、又は相当期間にわたり公衆に
提供等されている事実が明らかである著作物、実演、レコード、放送、有線放送です。
なお、「相当期間にわたり公衆に提供等されている事実が明らかである著作物等」とは、
文化庁によれば、「権利者等により公表されているかどうかは不明であるものの、相当期間に
わたり世間に流布されている著作物等のことをいい、具体的には童謡等が考えられ」ます。
(文化庁著作権課 『 裁定の手引き 令和 2 年 2 月版 』 文化庁, 2020 p.1 )としています。
(2)著作権者と連絡することができない場合における「相当な努力」
権利者が不明その他の理由により「相当な努力」を払っても権利者と連絡することができないことを
疎明することが必要となり、著作権者と連絡することができないことを疎明するためには、次の措置の
すべてを行わなければなりません。
①広く権利者情報を掲載していると認められるものとして文化庁長官が定める刊行物その他の資料の閲覧
②著作権等管理事業者その他の広く権利者情報を保有していると認められる者として文化庁長官が定める者に
対する照会
③時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙への掲載その他これに準ずるものとして文化庁長官が定める方法に
より、公衆に対し広く権利者情報の提供を求める
(具体的には、公益社団法人著作権情報センターのサイトに7日以上の期間継続して掲載すること)
因みに、裁定申請に係る費用は、
・権利者情報を求めるための広告料:1件につき、7,500円+消費税
・裁定申請書に貼付する収入印紙:1件につき、 6,900 円
・裁定を受けることが決まった場合の補償金の所管法務局への供託費用
補償金の額は、著作権等管理事業者等へ照会した後、文化審議会への諮問を経て決定
(裁定補償金額シミュレーションシステムにて、補償金額の目安を算出することができます)
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