著作物の2次利用がしやすくなるかも
文化庁の文化審議会が1/30にまとめた報告書「第 22 期文化審議会著作権分科会法制度小委員会報告書(案)」によると、権利者が分からない著作物について、利用者からの相談を受ける窓口組織を新設し、一定額を支払えば速やかにりようできる制度の導入を求め、2023年度通常国会に著作権法改正案の提出を目指しているようです。
古いテレビドラマや演劇等をデジタル配信などに2次利用するには、原則として、出演者全員の了解が必要です。SNSに流通する個人の創作物も同様で、2次利用の可否が明示されていないことがほとんどです。
このため、2次利用の許諾を得ることが難しい場合が多いと思われます。
現在、こういった場合でも、2次利用できるように、「著作権者不明等の場合の裁定制度」を使って、権利者の許諾を得る代わりに文化庁長官の裁定を受け、通常の使用料額に相当する補償金を供託することにより、適法に利用することができます。
しかし、この制度は、著作権等の権利者が分からない、分かっても連絡が取れない、連絡しても返答がないなどの場合の著作権者と連絡することができない場合における「相当な努力」が必要で、この手続きに1~2か月を要してしまうという問題があります。
手続きを迅速化できるように、今回導入しようとする制度は、
●一元的な窓口組織に著作権管理団体のデータベースを集約し、権利者を捜しやすくし、
●権利者不明や連絡がとれない場合、著作権使用料に相当する利用料を払えば暫定的に2次利用できる
ことを目指しています。
北欧で既に導入されている「権利者不明の著作物でも各分野の管理団体が包括的に利用を認める拡大集中許諾制度」に近いものになることが期待されますね。
また、この報告書では、漫画、アニメの海賊版被害を想定し、著作権侵害の民事訴訟で損害賠償額を上乗せできる見直し策も盛り込まれていて、著作権者が相応の損害を主張できるようになることが期待されます。
今国会で法律改正が可決され、その後、どれくらいの期間で制度そのものが実施できるようになるか気になります。
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