建設業許可の財産的基礎を満たさなければならない時期とは?
財産的基礎という要件とは
建設業許可の要件の一つに「財産的基礎又は金銭的信用があること」という要件があります。
建設業を営むには、資材や機材の購入が必要で、それらの購入資金が必要なため、建設業許可の取得には、最低限の基準の資金を有しなければなりません。
財産要件のうち、財産的基礎・金銭的信用は、一般建設業許可と特定建設業許可で異なります。
特定建設業許可の財産要件は、発注者や下請の保護という要請が強く、一般建設業許可よりも厳しいものとなっています。
一般建設業許可 | 特定建設業許可 |
次のいずれかに該当すること ・自己資本額が500万円以上あること ・500万円以上の資金調達能力を証明できること ・許可申請直前の過去5年間に許可を受けて継続して 建設業の営業をした実績を有すること | 次のすべてに該当すること ・資本金額が2000万円以上あること ・自己資本額(純資産)が4000万円以上あること ・欠損額が資本金の20%を超えていないこと ・流動比率が75%以上であること |
(補足)
自己資本 | ・法人は、貸借対照表の純資産合計額 ・個人は、期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計額から事業主勘定額を控除した額に 負債の部に計上されている利益保留性の引当金と準備金の額を加えた額 |
500万円以上の 資金調達能力 | 担保とすべき不動産を有していること等により、金融機関等から500万円以上の資金について 融資jを受けられる能力 具体的には、取引金融機関の預金残高証明書又は融資証明書で確認 (大阪府では、残高日が申請日前4週間以内の残高証明書が必要。発行タイミングは要注意) |
欠損額 | ・法人は、貸借対照表の繰り越し利益剰余金が負である場合に、その額が 資本剰余金、利益準備金及びその他の利益剰余金の合計額を上回る額 ・個人は、事業主損失が事業主借勘定の額から事業主貸勘定の額を控除した額に 負債の部に計上されている利益保留性の引当金と準備金を加えた額を上回る額 |
流動比率 | 流動資産を流動負債で割った数値に100を乗じた数 |
資本金 | ・法人は、株式会社の払込資本金、持分会社等の出資金額 ・個人は、期首資本金 |
財産的基礎を満たさなければならない時期とは
財産的基礎は、建設業許可の新規申請、更新申請、業種追加等の許可申請のタイミングでその要件を満たしているかが確認されます。
財産的基礎の要件は、建設業許可の新規申請や更新申請等の際、申請直前の決算内容で確認が行われるため、
許可申請を行う場合の直前年度の決算で、財産的基礎要件を満たしていなければなりません。
財産的基礎要件は、財務諸表で確認されますが、設立したばかりで、決算を迎えていない場合は、創業時の財務諸表で財産的基礎要件を満たすか判断されます。
注意が必要な場合として、以下のような場合があります。
・特定建設業許可業者が、許可更新申請の直前の決算内容で特定建設業の要件を満たしていない場合
特定建設業許可の更新ができないため、事前に般特新規申請を行って、
全業種を一般建設業許可に変更しておかなければなりません。
・特定建設許可業者が、申請直前の決算における財務諸表で「資本金」の額だけ要件を満たしていない場合
許可申請までに増資をして資本金要件を満たせば、財産的基礎要件を満たすことになります。
建設業者は、毎年、事業報告である「決算変更届」を提出しますが、財産的基礎の要件確認は決算ごとに行われるものではありませんので、決算後1年以内に「許可申請」がなければ、決算変更届をもって、財産的基礎要件が確認されるとはなく、業績が落ち込んでいても直ちに許可がなくなることはありません。
因みに、一般建設業許可の場合、財産的基礎要件に「許可申請直前の過去5年間に許可を受けて継続して建設業の営業をした実績を有すること」があるので、許可取得後5年経過した後は、許可申請の際、財産的基礎要件は確認されません。
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