ソフトウェアライセンス契約の成立について
2020年4月施行の改正民法にて、「定型約款」の規律が導入されました。
本来、契約は、一方の当事者が契約締結の申し込みの意思を表示し、他方当事者がこれに承諾の意思を表示することにより成立します。
ソフトウェアライセンスでは、次の2のパターンがあります。
1)ライセンサ(売り手)とユーザ(買い手)との間の交渉を経て、双方が捺印して締結される契約
2)ライセンサが予め定めた使用許諾条件に基づいて、全ユーザと一律の内容で締結される契約
2)のパターンは、ユーザがそれに承諾しているかは、以下のようなケースで判断されます。
◆シュリンク・ラップ契約:
パッケージの外箱に使用許諾条件を記載し、包装を開封すると同意したとみなす
※媒体のフィルムラップ等にユーザが開封前に通常認識できるように確認を求めることを表示し、開封すると契約が成立と表示されている必要がある
◆クリック・オン契約:
インストール時に画面に使用許諾条件を表示し、ユーザに「同意する」ボタンをクリックさせる
※画面上でライセンス契約の内容を最後までスクロールさせた後に同意ボタン(インストールを進める他のボタンと外形的な差があること)をクリックする必要がある
上の◆シュリンク・ラップ型、◆クリック・オン型で契約手続きを完了するには、「使用許諾条件」が『定型約款』に該当するかが重要ですが、実際には、同じソフトウェアを同じ条件で不特定多数のユーザに提供することになるので、「使用許諾条件」が『定型約款』に該当します。
より詳しく見てみると、『定型約款』というものは、下記①かつ②の取引で契約の目的となる条項を言います。
①不特定多数に売る(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引)
②内容が双方にとって合理的なもの
(その内容の全部または一部が画一的であることがその双方にとって合理的なもの)
インターネットを介してソフトウェアやアプリをダウンロードしてインストールする場合、長々と使用条件が表示されるため、細かく内容を確認せず、「同意」ボタンをクリックしてしまうことがあるかと思います。
料金がいつからいくら発生するのか、個人情報の取扱いは納得できるか、よくよく確認するようにしましょう。
「同意」ボタンをクリックする前に、本当に必要なソフトウェアなのかを考え、そのソフトウェアの評判をインターネットで調べて、判断の参考にすることもできます。
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