共有私道の補修工事等について、民法解釈が見直されています

複数人が所有権を有するいわゆる「共有私道」で補修工事等を行う場合に、改正前民法の「共有の規定」等の解釈が必ずしも明確ではなく、補修工事を実施するには、共有者全員の同意を得なければならず、実際には実施困難な状況が発生する場合があります。
例えば、共有の砂利道私道をアスファルト舗装したいとき、共有の私道上の樹木を伐採したいときなどです。
そこで、令和3年民法改正に応じて、土地の利用の円滑化の観点から、「共有私道の保存・管理等に関する事例研究会」で様々な見直しがなされ、令和4年6月7日付けで改訂されたガイドラインが公表されています。

見直しされた際のポイントは、次のような内容です。
共有物の「管理」の範囲の拡大・ 明確化
 これまで、「管理」は共有持分の過半数で決するとしていたところ、
 「管理」の範囲を広げ、軽微な「変更」も「管理」に含められています。
 (軽微でない変更は、従来通り、共有者全員の同意が必要です)
賛否不明共有者以外の共有者による管理の仕組み
所在等不明共有者以外の共有者による変更 ・ 管理の仕組み 等

この見直しガイドラインの中の一つである「共同物(共同所有型私道)の管理範囲の拡大・明確化」は、大変興味があるものですので、紹介します。

共同所有型私道における対処例

「共同所有型私道」とは、私道全体を複数の者が所有し、民法の共有の規定が適用されるものです。

No.補修内容対処見直し
1舗装の修復
(道路が陥没したとき等)
保存行為であり、 単独で可従来通り
2私有水道管の新設
(給水管を敷設したいとき等)
持分に応じた使用として、単独で可従来通り
3公共下水管の新設共有物の管理に関する事項 に当たり、共有者の持分の過半数決する従来通り
4舗装の新設
(砂利道私道を舗装したいとき)
軽微変更に当たり、共有者の持分の過半数で決する見直し
(従来、共有者全員の同意要)
5樹木の伐採
(共有私道上の樹木を伐採したい)
軽微変更に当たり、共有者の持分の過半数で決する見直し
(従来、共有者全員の同意要)

4、5は、改正前民法では全員同意が必要とされていたものですので、合理的な対処が可能になりますね。

類似したものとして、相互持合型私道※1があります。
(※1:私道が複数の筆から成っており、隣接宅地の所有者等が、私道の各筆をそれぞれ所有し、相互に利用させ合うもの)

その他

財産管理制度について
・財産管理制度を利用し、裁判所が選任する財産管理人から私道の工事等の同意 を得ることが可能
・所有者不明土地特措法において、市町村長等は、利害関係の有無を問わず、財産管理人の選任請求をすることが可能
など

ライフライン関して
・設備設置権が成立する場合には、隣地所有者の承諾書がなくとも民法上は設備設置が可能である
・隣地所有者から不当な承諾料を求められても応ずる義務はない
など

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