経審の技術職員の恒常的雇用関係を証明するには

経営事項審査では、受審する業種に必要な資格を有する社員を技術職員名簿に挙げ、Z点の点数を上げることができます。

技術職員の保有資格については、資格証や実務経験申立書で証明しなければならないと認識されていますが、その技術職員の6ヶ月を超える常的雇用関係があることを証明しなければならず、この証明に使う書類について、許可行政庁の手引きに詳しく書かれていますが、とてもわかりにくいのではないでしょうか?
今回は、法人の場合について、必要な書類の基本を整理しておきます。

6ヶ月を超える期間とは

許可行政庁の「経営事項審査の手引き」に
『技術職員名簿(規則様式第25号の14別紙2)に記載されている職員の審査基準日以前6か月を超える恒常的雇用関係及び常時雇用(法人の役員及び個人の事業主を含む)を確認できる書類』と書かれています。

「審査基準日以前6か月を超える」とは、決算日の6カ月+1日前に、雇用関係があり、賃金支払いがあることという意味です。

したがって、決算日によって、どういう期間を証明しなければならないかというと以下のようになります。
3月31日の場合は、前年の9月30日から3月31日まで
9月30日の場合は、その年の3月29日から9月30日まで
12月31日の場合は、その年の6月30日から12月31日まで

これを証明できないと、技術職員名簿には書くことはできません。

全員分の賃金台帳(源泉徴収簿)

決算日の6カ月+1日前から、決算日までの期間に途切れることなく賃金支払いがあることを証明します。

注意する点は、給与支払の締め日と支払日で、通常、10日、15日、20日などを締め日として、当月払い、又は、翌月払いになると思います。

決算日が9月30日の場合、3月29日から9月30日までを証明しなければならないので、
通常は、3月~9月の7カ月分の提出となります。
しかし、15日〆・当月25日払いの場合、3月~10月の8カ月分を提出しなければなりません。

実務上は、決算月が1月から6月の場合、前年と当年の2年分を
それ以外の場合は、当年1年分の源泉徴収簿を ご用意いただくことになります。

通常は、標決&保険証、特徴、雇用保険者証 どれかを選択

(雇用保険者証)雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(本人用)

何と言っても、これが、お勧めです。
しかし、必要なのは、本人用で、本人が保管するものなので、紛失している可能性が高く、技術職員全員分を用意できない可能性があります。
なお、再発行は、最寄りのハローワークで手続きできます。
(窓口手続きの場合は即日、郵送の場合は4、5日かかります)

(標決&保険証)社保セット

「健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書」と「健康保険被保険者証」の組み合わせです。

通知書は会社が保管し、保険証は必ず本人が持っているので、実務上、最も使用されることが多いケースです。

「健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書」は、国民年金機構が発行しますが、協会けんぽ以外の健康保険に加入している場合は、当該健康保険組合が発行する「標準報酬決定通知書」となります。

健康保険被保険者証は、事業者名がなければなりません。

ここで、大事なのが、標準報酬決定通知書は、毎年9月に発行され、有効期間は当年4月から翌年8月までということです。
決算日の6カ月+1日前から決算日までの期間を何年の発行分で証明できるかは、下記の「標決と特徴が証明する期間」を参考にしてください。

なお、再発行は、日本年金機構で手続きできます。

(特徴)住民税特別徴収税額通知書

特別徴収義務者用と納税義務者用のセットが必要です。

特別徴収義務者用は、会社が保管するものです。
納税義務者用は、本人が保管するもので、紛失している場合は、住民税課税証明書が代用できます。

住民税特別徴収税額通知書は、毎年5月に発行され、
有効期間は当年6月から翌年5月までです。
決算日の6カ月+1日前から決算日までを証明するには、2年分必要な場合があるので、注意しなければなりません。
決算日の6カ月+1日前から決算日までの期間を何年の発行分で証明できるかは、下記の「標決と特徴が証明する期間」を参考にしてください。

なお、再発行はできませんので、大事に保管しておきましょう。

特別徴収義務者用

納税義務者用

標決と特徴が証明する期間

標決
(前年発行)
標決
(当年発行)
特徴
(前年発行)
特徴
(当年発行)
前年7月

8月

9月

10月

11月

12月

当年1月

2月

3月

4月


5月


6月


7月


8月


9月

10月

11月

12月

〇:有効な対象年月

左表を見れば、審査基準日(決算日)がいつだと何年分の標決、または、特徴が必要かわかりやすいと思います。

【標準報酬決定通知書】
決算日:3月31日(前年9月30日~3月31日)前年分
決算日:9月30日(当年3月29日~9月30日)前年分当年分
決算日:12月31日(当年6月30日~12月31日)当年分

【住民税特別徴収税額通知書】
決算日:3月31日(前年9月30日~3月31日)前年分
決算日:9月30日(当年3月29日~9月30日)前年分当年分
決算日:12月31日(当年6月30日~12月31日)当年分

75歳以上や出向している場合など

75歳以上の後期高齢者の場合、役員報酬額が10万円未満の場合、出向者の場合、二以上事業所に勤務している場合などは、上記以外の書類が必要となり、個々のケースで、必要な書類が様々です。

法人税確定申告書等

さらに、人件費全体を証明するために、法人税確定申告書のうち役員報酬手当等及び人件費の内訳、及び、決算報告書のうち一般管理費及び工事等原価報告書(報酬・給与・賃金額がわかるもの)も必要です。

建設業に詳しい行政書士に経審を依頼するメリット

技術職員の6ヶ月を超える常的雇用関係があることを証明するために用意する書類は様々なパターンがあります。
特に、75歳以上の技術職員や出向者などがいる場合は、建設業を主業務にしていない行政書士は間違いやすいところですし、技術職員それぞれの資格とともに、雇用関係を証明するための資料整理は面倒です。
おまけに、以前のコラムで書いたように、経審用の工歴を書くも面倒です。

とはいえ、建設業のことは社長自身が詳しいから、行政書士の報酬をかけたくないからの理由で、経審を自分でやろうという会社があります。
その場合、行政庁が公開している手引きなどで経理や総務の担当者などが経審手続を調べて、作成することはできますが、経審は年に1回の手続きで、経審に関する法律や規則は、毎年見直されるため、申請の都度、最新の情報を調べなければならず、本来業務ではないことに相当の時間を割かなければなりません。
さらに、必要な書類の作成、整理だけではなく、行政庁へ提出する際は、大阪府咲洲府庁までの往復と受付・審査に、ほぼ半日を要してしまいます。

行政書士に依頼することで、手続き知識の習得から書類作成、提出までの本来業務以外の業務をなくし、建設業そのものの営業活動に集中していただけるようになります。

当事務所では、建設業の許可更新や各種変更、入札参加などの際に必要な手続きや対応について、継続的にフォローすることにより、お客様の建設業許可の維持と活用をサポートし、お客様の事業の安定と拡大を応援します。

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