主任技術者・監理技術者について、よくある質問

建設業法では、建設工事の適正な施工を確保するため、工事現場における建設工事の施工の技術の管理をつかさどる者として主任技術者又は、監理技術者の設置を求めています。
主任技術者・監理技術者について質問を受けますので、主任技術者・監理技術者のそもそもの意味合いを確認し、よくある質問の説明を記したいと思います。

主任技術者・監理技術者の配置・専任・資格

まず、工事現場には、必ず、主任技術者配置し、専任させなければなりません。
そして、元請業者が下請に発注する代金の合計が、4,500万円建築一式は7,000万円以上の場合、主任技術者に代えて、必ず、監理技術者を配置しなければなりません。

さらに、公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事であって、請負金額が4,000万円(建築一式:8,000万円)以上となる工事には、監理技術者を専任配置しなければなりません。

主任技術者(=一般建設業の専任技術者の資格)、監理技術者(=特定建設業の専任技術者の資格)の配置・求められる資格・専任については下記のようになります。

許可を持つ業種指定建設業(7業種)
土、建、管、鋼、舗、電、園
その他(22業種)
指定建設業以外
許可の種類特定建設業一般建設業特定建設業一般建設業
元請工事の下請発注金額合計4,500万円以上
※建築一式は、7,000万円以上
4,500万円未満
※建築一式は、7,000万円未満
4,500万円未満
(4,5000万円以上の契約不可)
※建築一式は、7,000万円未満
4,500万円以上
※建築一式は、7,000万円以上
4,500万円未満
※建築一式は、7,000万円未満
4,500万円未満
(4,500万円以上の契約不可)
※建築一式は、7,000万円未満
工事現場に置くべき技術者監理技術者又は、特例監理技術者及び、監理技術者補佐主任技術者監理技術者又は、特例監理技術者及び、監理技術者補佐主任技術者
(特定専門工事の下請負人は設置不要)
※特定専門工事:鉄筋工事及び型枠工事
技術者の資格要件①1級国家資格者
②国土交通省特別「認定者
③1級技士補(監理技術者補佐のみ)
①1・2級国家資格者
②指定学科+実務経験(3年又は5年)
③実務経験10年
①1級国家資格者
②国土交通省特別「認定者
③1級技士補(管理技術者補佐のみ)
①1・2級国家資格者
②指定学科+実務経験(3年又は5年)
③実務経験10年
(特定専門工事の場合、当該工事の1年以上の指導監督的実務経験が必要)
監理技術者資格者証及び講習受講現場専任が求められる工事で必要
(監理技術者・特例監理技術者のみ)
現場専任が求められる工事で必要
(管理技術者・特例監理技術者のみ)
技術者の現場専任監理技術者・特定専門工事以外の主任技術者:
公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事であって、請負金額が4,000万円(建築一式:8,000万円)以上となる工事
監理技術者補佐・特定専門工事の主任技術者:
配置されるすべての工事

(国土交通省関東地方整備局「建設工事の適正な施工を確保するための建設業法(令和5.1版)P18」をもとに作成)

※特例管理技術者:(2020年10月改正建設業法で新設)
 監理技術者補佐を工事現場ごとに専任で配置し、2つの現場を兼務する監理技術者であり、資格要件は、監理技術者と同じ
※監理技術者補佐:(2020年10月改正建設業法で新設)
 特例管理技術者とセットで配置するもので、必要な資格は、
 ・主任技術者の資格+1級技士補の資格(技術検定の第一次検定に合格)
 ・監理技術者の資格

主任技術者・監理技術者の恒常的雇用関係

主任技術者、監理技術者又は特例監理技術者は、工事を請け負った建設業者との間で直接的かつ恒常的な雇用関係にあることが必要です。
恒常的な雇用関係については、監理技術者資格者証の交付年月日若しくは変更履歴、又は、健康保険被保険者証の交付年月日等により確認できなければなりません。

国、地方公共団体等が発注する建設工事について、発注者から直接請け負う建設業者の専任の監理技術者等は、所属建設業者から入札の申込のあった日以前に当該建設業者と3ヵ月以上の雇用関係にあることが求められます。

関連情報:専門技術者は、一式工事中の専門工事を施工する場合に配置必要

土木一式工事、建築一式工事を施工する場合、一式に含まれる専門工事を下請業者に施工させる場合、下請業者が専門工事の主任技術者を配置することになります。
一方、一式工事を施工する建設業者が自ら専門工事を施工する場合は、「専門技術者」を配置しなければなりません。(付帯工事を施工する場合も同様)

  • 現場の主任技術者・監理技術者が、専門工事の主任技術者要件を満たしている場合は兼任可能
  • 軽微な工事の場合は配置不要
  • 資格要件は主任技術者と同じ

主任技術者・監理技術者の職務

監理技術者主任技術者
役割請け負った工事全体の統括的施工管理請け負ったこ範囲の工事の施工管理
施工計画の作成・請け負った建設工事全体の施工計画の作成
・下請の作成した施工要領書等の確認
・設計変更等に応じた施工計画書等の修正
・元請が作成した施工計画書等に基づき、請け負った範囲の工事に関する施工要領書等の 作成
・元請等からの指示に応じた施工要領書等の修
工程管理・請け負った工事全体の進捗確認
・下請間の工程調整
・工程会議等の開催、参加、巡回
・請け負った範囲の工事の進捗確認
・工程会議等への参加
品質管理・請け負った工事全体に関する下請けからの施工報告の確認、必要に応じた立ち合い確認、事後確認等の実施の確認・請け負った範囲の工事に関する立ち合い(原則)
・元請(上位下請)への施工報告
技術的指導・請け負った工事全体における主任技術者の配置等法令遵守や職務遂行の確認
・現場作業に係る実地の総括的技術指導
・請け負った範囲の工事に関する法令遵守の確認
・現場作業に係る実地指導

よくある質問

主任技術者・監理技術者は現場に常駐しなければならない?

専任 = 常駐 ではありません。
主任技術者・監理技術者に求めらえる専任とは、他の工事現場との兼務を禁止し、常時継続的にその工事現場にのみ従事するものです。
必ずしも工事現場への常駐が必要なわけではありません。

主任技術者の設置が必要な工事は?

建設業の許可業者は、請け負った工事を施工するときは、工事現場における工事の施工の技術上の管理をつかさどる主任技術者を置かなければなりません。請負金額に関わらず、主任技術者を置かなければなりません。(下請に発注する金額等により、監理技術者が必要)

無許可業も主任技術者を置かなければならない?

無許可業者は、主任技術者を配置する必要はありません。
この場合、当然軽微な建設工事でなければなりません。
従って、建設業の許可業者が、許可のない工事業種の工事を施工する場合、主任技術者の配置は不要です。
当然ですが、無許可の建設業者は、500万円未満の工事(建築一式工事の場合は、1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事)しか請け負うことができません。

専任技術者は主任技術者になれない?

原則として、営業所の専任技術者は、主任技術者又は監理技術者にはなれません。
ただし、下記4の全ての要件を満たす場合は、営業所の専任技術者が、主任技術者又は監理技術者になることができます。
①現場での専任がもとめられない工事
②所属する営業所で契約した工事
③所属する営業所での職務が適性に遂行できる程度に近接した工事現場
④所属する営業所と常時連絡がとれる状態である
実際は、これらは、許可行政庁が判断するものですので、許可を受けた行政庁に確認、判断を受けてください。

支店受注の工事に本社の技術者をおかなければならない?

営業所の専任技術者以外の技術者が、主任技術者・監理技術者になる場合は、所属する営業所がどこであっても構いません。
必要な資格、実務経験があり、建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係があれば、その営業所で契約した工事であっても、主任技術者・監理技術者になることができます。

主任技術者は複数の現場を兼務できる?

専任が求められない工事現場であれば兼務できます。
専任が求められない工事は、「公共性のある施設若・工作物又は、多数の者が利用する施設・工作物の重要な建設工事で、請負金額が4,000万円(建築一式:8,000万円)以上となる工事 及び、特定専門工事(鉄筋工事及び型枠工事)以外」の工事ですので、兼務できる工事は比較的多いと思われます。
また、専任が求められる工事現場で兼務できる場合があります。
・密接な関係にある2以上の建設工事を同一の建設業者が同一又は近接した(10km程度以内)場所において施工する場合
(これは、監理技術者には認められていません)
・同一の或いは別々の発注者が、同一の建設業者と締結する契約工期の重複する複数の請負契約に係る工事で、かつ、それぞれの工事の対象となる工作物等に一体性が認められる場合(この取扱いは注意が必要です。許可行政庁に兼務可能か確認することをお勧めします。)

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行政書士 尾﨑
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