経営事項審査で提示が必要な書類を解説
経営事項審査を申請する際、提出する資料の他に、提示しなければならない書類があります。
提示が必要な書類は、必ず提示しなければならないものと、申請内容により提示が必要となるものがあります。
大阪府へ申請する場合に、提示が必要となる書類を見ていきます。
必須提示の書類
申請内容に関わらず、必ず、提示しなければならない書類は以下の通りです。
No | 提示書類 |
---|---|
1 | 建設業許可通知書又は許可証明書の写し(申請日現在有効なもの) |
2 | 建設業許可申請書副本一式(申請日現在有効なもの) |
3 | 決算変更届副本一式(審査対象事業年度及び完成工事高計算基準の区分に応じた年度分のもの) |
4 | 変更届副本一式(直近の建設業許可申請(新規又は更新)以降に提出したもの) |
5 | 経営規模等評価申請書副本一式及び経営規模等評価結果通知書(前期分)の写し |
6 | 完成工事高を確認できる書類であって、審査対象事業年度及び完成工事高計算基準の区分に応じた年度分に係る、次に掲げる全ての書類の写し ア (法人)法人税確定申告書別表一及び決算報告書のうち損益計算書 (個人事業主)所得税確定申告書第一表、第二表及び収支内訳書又は青色申告決算書 (電子申告の場合は、受信通知を含む) イ 消費税及び地方消費税確定申告書控及び添付書類 (税務署の受付印のあるもの。ただし、電子申告の場合は、受信通知を含む) ウ 消費税及び地方消費税納税証明書(その1・納税額等証明書用)※電子納税証明書は不可 |
課税標準額<完成工事高になっていないかを確認
消費税申告書の「差引税額⑨」+「納税額⑳」が課税標準額です。
(消費税納税証明書(その1)納税証明書申告額)
この課税標準額と決算報告書の完成工事高を確認しましょう。
もし、兼業がなく、課税標準額が完成工事高より少なくなっている場合、完成工事高が誤りがある可能性があります。完成工事高を税込金額で計算していたり、工事以外の非課税売上を含んでしまっている可能性があります。
兼業があれば、総売上高が課税標準額より大きくなっているのは、非課税の取引があったなどの理由を明確にしておきましょう。
申請内容に応じて必要な書類
申請内容によって、提示が必要な書類を見ていきます。
特殊経審・決算期変更法人、連結決算法人の場合
審査対象事業年度及び前審査対象事業年度に係る法人税確定申告書が必要です。
別表十六(一)及び(二)や別表十六(五)、(六)及び、その他減価償却実施額が確認できる書類の写しを提示します。
雇用保険加入の場合
審査基準日現在の雇用保険の加入の有無を確認できる書類で、次に掲げる全ての書類の写しの提示が必要です。
1.労働保険概算・確定保険料申告書又は労働保険組合からの納入通知書と保険料納入領収書
※審査基準日を含む保険年度のものが必要なので、審査基準日が3月31日以前の場合は、
最新のものではなく、前年度のものが必要ですので、ご注意ください。
※領収書は、審査基準日を含む保険年度の全ての領収書が必要です。
2.雇用保険が適用除外の場合、次に掲げるアとイからエのいずれかの書類の写し
ア)直前の許可申請書又は決算変更届に添付した「様式第4号 使用人数」
イ)個人事業所の従業員が同居親族のみの場合
所得税確定申告書のうち収支内訳書又は青色申告決算書(同居親族の氏名が専従者給与欄に記載がある)
ウ)法人の従業員が役員又は事業主の同居親族のみの場合
アに記載の全ての者の現住所が確認できる住民票(マイナンバーの記載なし)、運転免許証、
健康保険証等公的機関発行の書類従業員の全てが出向社員の場合
エ)出向協定書、出向辞令等及び出向元での上記、1.2.掲げる書類
健康保険・年金保険加入の場合
健康保険及び厚生年金保険の加入の場合
審査基準日時点の次のア又はイいずれかの書類の写しが必要です。
ア) 健康保険・厚生年金保険それぞれの保険料納入告知額・納入済額通知書
審査基準日を含む月分が納付済であることが確認できるもの
イ)健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書
役員及び従業員のうち常勤である者全員分が確認できるもの
※なお、審査基準日前1年以内に新たに雇用した者がある場合は、
・健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得確認及び標準報酬決定通知書
資格取得年月日審査基準日以前でないといけません
・船員保険適用被保険者がある場合は、船員保険被保険者証
船員保険被保険者証での健康保険加入確認の場合、厚生年金保険加入の確認書類も必要です
建設国保、大建国保等の建設国保に加入の場合
建設国保は「全国建設工事業国民健康保険組合」、大建国保は「大阪建設労働組合建設国民健康保険」を指しています。
次に揚げるア~ウいずれかの書類の写しが必要で、様式別紙三項番42の健康保険加入の有無は「適用除外」の取扱いになります。
ア)事務所名の記載のある建設国保の保険証(技術職員全員分)
イ)建設国保の保険証に事務所(申請者)名の記載がない場合
理事長などが発行する事務所(申請者)名の記載のある資格証明書
ウ)納入告知書兼領収書
建設国保及び大建国保に未加入で健康保険及び厚生年金保険適用除外の場合
適用除外を確認できる書類で、次のア及びイ若しくはウいずれかの書類の写しが必要です。
ア)審査基準日に係る規則様式第4号による使用人数
イ)個人事業所の従業員が4名以下の場合
所得税確定申告書のうち収支内訳書又は青色申告決算書
(当該従業員の氏名が専従者給与欄又は給料賃金欄に記載されているもの)
ウ)従業員の全てが出向社員の場合
出向協定書、出向辞令等及び出向元での上記に掲げる書類
建退共に加入の場合
審査基準日現在の、建退共(独立行政法人勤労者退職金共済機構中小企業退職金共済事業本部)の大阪府支部発行の建設業退職金共済事業加入・履行証明書(経営事項審査用)の写しが必要です。
企業年金制度・退職一時金制度導入の場合
審査基準日現在の次に掲げるアからカのうちいずれかの書類の写しが必要です。
ア)中小企業退職金共済制度又は特定退職金共済団体制度への加入証明書
イ)退職金制度に係る労働協約又は自社退職金制度の規定がある就業規則
10人以上の労働者を使用している場合は、労働基準監督署の届出印があるものです。
退職金規定が別冊である場合は、当該退職金規定及び就業規則を提示します。
ウ)厚生年金基金への加入証明書又は領収書
申請者名が記載され、審査基準日を含む月分を納付していることが確認できるものですので、
審査基準日が3月31日以前の場合は、最新のものではなく、前年度のものが必要ですので、ご注意ください。
エ)確定拠出年金運営管理機関の発行する確定拠出年金への加入が確認できる証明書等
オ)確定給付企業年金(確定給付企業年金法に規定する基金型企業年金及び規約型企業年金)の
企業年金基金の発行する企業年金基金への加入が確認できる証明書等
カ)資産管理運用機関との間の確定給付企業年金に関する契約書
法定外労働災害補償制度の加入の場合
審査基準日時点において、次の要件の全てに該当していることがわかる、次に掲げるいずれかの書類の写しが必要です。
ア )公財)建設業福祉共済団、(一社)全国建設業労災互助会、全日本火災共済協同組合連合会、
又は(一社)全国労働保険事務組合連合会の労働災害補償制度への加入証明書
イ)次の要件が確認できる保険証券又は保険会社・中小企業等協同組合法に基づき共済事業を営む者の加入証明書
(要件)次の全ての要件への該当が必須です。
a 業務災害及び通勤災害のいずれも補償対象であること
b 自社職員及び全下請負人が補償対象であること
c 死亡及び障害等級第1級から第7級までが補償対象であること
d 全ての工事現場を補償対象としていること
なお、当該保険証券等(保険約款のみは不可)の他、政府の労働災害補償保険に加入し、
審査基準日までの保険料を納付済みであることを証する書面及び納付書の写しが必要です。
(ここでも、審査基準日により、必要な年度分が変わりますので注意が必要です)
若年技術職員の育成確保(継続・新規)を実施の場合
審査基準日時点で満35歳未満の人数が技術職員の人数の合計の15パーセント以上、及び、
新規に技術職員となった人数が技術職員の人数の合計の1パーセント以上である場合に評価されます。
術職員名簿に記載されている職員のうち、満35歳未満の若年技術職員の継続的な育成及び確保及び新規若年技術職員の育成及び確保の状況の確認を前審査対象年分(1期前)の経営規模等評価申請書(副本)等で確認します。
防災活動への貢献がある場合
審査基準日時点で有効な次に掲げるいずれかの書類の写しが必要です。
ア)国、特殊法人、地方公共団体等との間に防災活動に関する協定を締結している場合
防災協定書
イ)加入している社団法人等の団体が国、特殊法人、地方公共団体等との間に防災協定を締結している場合
防災協定書、活動計画書等防災活動に一定の役割を果たすことができる書類及び当該団体への加入証明書
監査実施の場合
監査の受審状況を確認できる書類で、次に掲げるいずれかの書類が必要です。
ア)会計監査人設置会社及び会計参与設置会社
履歴事項全部証明書
イ)在籍している建設業の経理実務の責任者のうち公認会計士、会計士補、税理士、その資格を有する者及び
登録経理試験に合格した者の資格証、合格証等、研修・講習修了証の写し
並びに、その者の審査基準日現在の常時雇用を確認できる書類(標準報酬決定通知書と健康保険証など)
研究開発を実施の場合
研究開発費の状況を証する書類のうち額を確認できる書類で、かつ、金融商品取引法第24条第1項の規定による有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない会社は。有価証券報告書の写しが必要です。
建設業に詳しい行政書士に経審を依頼するメリット
これまで読んでいただくとお分かりいただけたと思いますが、経審用の工歴を書くのはそれなりに面倒です。
特に、「元請工事の7割、そして、工事全体の7割」は、建設業を主業務にしていない行政書士でも間違いやすいところです。
とはいえ、建設業のことは社長自身が詳しいから、行政書士の報酬をかけたくないからの理由で、経審を自分でやろうという会社があります。
その場合、行政庁が公開している手引きなどで経理や総務の担当者などが経審手続の知識を得て作成することはできますが、経審は年に1回の手続きで、経審に関する法律や規則は、毎年見直されるため、申請の都度、最新の知識を取得しなければならず、本来業務ではないことに時間を割かなければなりません。
さらに、必要な書類の作成、整理だけではなく、行政庁へ提出する際は、大阪府咲洲府庁までの往復と受付・審査に、ほぼ半日を要してしまいます。
これを会社にとって、有益なノウハウ・スキルと見るか、コストと見るかは、それぞれの会社の考えだと思いますが、行政書士に依頼することで、手続き知識の習得から書類作成、提出までの本来業務以外の業務をなくし、建設業そのものの営業活動に集中していただけるようになります。
当事務所では、建設業の許可更新や各種変更、入札参加などの際に必要な手続きや対応について、継続的にフォローすることにより、お客様の建設業許可の維持と活用をサポートし、お客様の事業の安定と拡大を応援します。
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